※個人の感想です。
※脳内垂れ流し回です。
今日が始まる夜明け前の薄暗い中
家族のまだ誰も起きだしてはいない
私は一晩冷蔵庫で発酵させておいたパン種を
取りだして常温に戻す。
私と一緒にゆっくりと目覚めていくパン種。
夜が明けるのも遅くなってきた
綺麗な朝焼けなど見えない住宅街の一室で
今日も私は手ごねのパンを焼く。
自宅でパンを焼く生活。
強力粉とイースト菌。砂糖・塩、水などなど。
べたついた生地がしっとり滑らかになる過程の不思議を
手づから感じながらも台の上でリズミカルに捏ね上げていく。
自宅でパンを焼く生活。
自宅でパンを焼く生活は
『丁寧な暮らし』か。否か。
パンの焼ける良い匂いに包まれる早朝は
『丁寧な暮らし』なのか。
否。
私は強く思う。
否。だ。
自宅でパンを焼く生活を
私は決して丁寧な暮らしなどとは呼ばない。
丁寧な暮らし。という言葉に含まれる静かな暴力が私は嫌いだ。
質素でいて何かしら尊いもののように名乗りながら
圧倒的な排他性を含んだ言葉のステイタスと暴力性が嫌いだ。
パン屋で贅沢な材料を使った
色とりどりの高価なパンを購入する暮らしは
雑な暮らしなのだろうか。
クロワッサン・アマンド。
エンサイマダ。
ベーグル。
等々。
(嗚呼、食べたい)
自宅でパンを焼く私の生活は
単なる節約生活の中の自己満足に過ぎない。
ただ節約生活の中でも
焼きたてのパンを食べる幸せぐらいはあってもいい。
パンが自分の手の中で捏ねあがり出来上がっていく
魔法のような喜びぐらいはあってもいい。
自宅でパンを焼く生活。
私のそれはただの趣味を兼ねた節約生活の一環です。
今日もいい匂いで焼きあがるパンが
しっかり膨らんでいますようにと。
白みはじめた夜明けの朝に祈る気持ちで
オーブンを開ける。
しっとりふんわりパリッと
パン屋さんにも少ししか負けないような
素敵なパンが焼きあがっていると良い。
今日も。